「パダン パダン」エデット ピアフの愛した男たち

エディット ピアフの 「パダン パダン」

このシャンソンの歌詞を読み、意味を訳してはみたが、何のことを言っているのかさっぱりわからなかった。
哲学的でもあるその歌詞は、調べているうちに、ピアフの伝記、数えきれない男の過去を知ることになる。

第一次世界大戦の真っ只中に生まれたピアフが、1940年24歳の頃ヨーロッパには次の戦争の足音が忍びよっていた。
パリがナチスドイツの占領下に置かれるという最悪の状態だった。
当時、ナチスから逃れるためにドイツから沢山の音楽家たちがパリにやって来てパリには猛烈に音楽家が集まった。
ピアフは、その中の1人のユダヤ人の作曲家ピアニストの、ノルベルト・グランツベルクと良い仲になって、2年ぐらい一緒に暮らす。
その彼が1943年に作曲したのが『パダン・パダン』
ピアフは27歳だった。
作詞はアンリ・コンテ。

しかし、この曲が発表されたのは、それから8年後のピアフ36歳の時だったのだけど……

1947年には、あの大恋愛のボクサーのマルセル・セルダンとの出会い。
2年後には彼を飛行機事故で亡くすことで、一気に暗闇に転じてしまう。
ズタズタになり、心は病み、孤独で、薬物依存に苦しんでいた頃かもしれない。
ピアフは戦争中のことを思い出す。
一緒に暮らしたユダヤ人ピアニストが作った曲の楽譜をそのままにしていた…
だからメロディーが付きまとい呪われているんだと。
毎晩うなされて眠れない。
この曲を歌えば私は立ち直れると『パダン・パダン』を歌った。
それが1951年でどん底の人生から立ち上がるきっかけになった曲。

ここで追加するが、あの有名な「バラ色の人生」は戦時下で作られた曲で、1945年に戦争が終わりリリースされたのだが、これは確かイヴ モンタンとのラブラブを歌った曲だったはず……

ユダヤ人ピアニスト

イヴ・モンタンはここに入るのか?

マルセル・セルダン

(笑)




PADAM  PADAM

訳 小國裕美

Cet air qui m'obsèd  jour et nuit
昼も夜もつきまとうこのメロディーは
Pourtant n'est pas né d'aujourd'hui
昨日今日に生まれたものではない
Il vient d'aussi loin que je viens
私が生まれたときと同じくらい遠い過去から
Traîné par cent mille musiciens
あまたの音楽家を引き連れてつきまとう(音楽家の思い出をつれて)
Un jour cet air me rendra folle
ある日そのメロディーは私を狂わせる
Cent fois j'ai voulu dire pourquoi
何度も私はなぜ?と言いたかった
Mais il m'a coupé la parole
しかしそれは私の言葉をさえぎった
Il parle toujours avant moi
それはいつも私より先に喋り
Et sa voix couvre ma voix
そしてその声は私の声をかき消す

Padam...padam...padam...
パダン・パダン・パダン
Il arrive en courant derrière moi
それは私を追いかけてくる
Padam...padam...padam...
パダン・パダン・パダン
Il me fait le coup du souviens-toi
それは「忘れないで」と私を責める
Padam...padam...padam...
パダン・パダン・パダン
C'est un air qui me montre du doigt
そのメロディーは私を指で見せる(指さす)
Et je traîne après moi comme un drôle d'erreur
そして変な間違いのように持ち歩く
Cet air qui sait tout par cœur
過去を全て知っているこのメロディーを(私のことをすべ
てまるあんきでわかっているこの音楽を)

Il dit: "Rappelle-toi tes amours
それは言う「おまえの恋人達を思い出せ」
Rappelle-toi puisque c'est ton tour
「忘れないで、それはおまえの番だから(思い出して)」
y a pas d'raison qu'tu n'pleures pas
「おまえには泣かない理由はない」
Avec tes souvenirs sur les bras...
「おまえの両腕に思い出を抱き」
Et moi je revois ce qui restent
そして私は自分に残っているものを(過去を)思い出す
Mes vingt ans font battre tambour
私の20歳の青春時代が鳴っている(太鼓を打つ)
Je vois s'ent rebattre des gestes
私はあの身振り手振りが目に浮かぶ
Toute la comédie des amours
恋のドラマのすべて(が目に浮かぶ)
Sur un air qui va toujours
いつもずっと鳴り響くこのメロディーの

Padam...padam...padam...
パダン・パダン・パダン
Des "je t'aime" de quatorze-juillet
パリ祭の恋のささやき
Padam...padam...padam...
パダン・パダン・パダン
Des "toujours" qu'on achète au rabais
安請け合いの「いつまでも」
Padam...padam...padam...
パダン・パダン・パダン
Des "veux-tu" en voilà par paquets
「ほしいなら」いくらでもあげる
Et tout ça pour tomber juste au coin d'la rue
全て街角で私に遭遇する
Sur l'air qui m'a reconnue…
私をつきまとうそのメロディーとなって
Écoutez le chahut qu'il me fait...
(音楽が)私の中に(心に頭に)どのくらい大騒ぎか聞いてください…
Comme si tout mon passé défilait...
まるで私の過去が逃げるように…

Faut garder du chagrin pour après
その後の人生のために悲しみをキープしなければならない(抱き続けなくてはならない)
J'en ai tout un solfège dan cet air qui bat...
私はたくさんの楽譜で悲しみを持っている(この音楽に私の過去の悲しみがたくさん入っている)
Qui bat comme un cœur de bois...
木でできた心のように





元祖 ピアフ
オペラ歌手の ロベルト・アラー二ャ

かなりキーを高くしている

小國裕美 オフィスイマジン office imagine

シャンソンに愛された歌姫、小國裕美のブログです。 イマジン代表 小國裕美ランチ、ディナーコンサート Oguni ZENTSUJI FRENCH RESTAURANT にて 2024年11月2日、3日 皆様とスペシャルなひととき、幸せな日となりました すべてのお客様、スタッフの皆様に深謝しつつ

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