小國裕美 パトリック・ヴァゾリ(ピアノ) シャンソンをパリでレコーディング
ピアニストのパトリックさんとは2017年から今年2020年の間に三回会っただけなのに、ずっと前から知り合っていたような…
それは多分、毎回、内容が濃いから。
自然に毎年1回は会うことになっている感じで、今年は11月にフランスでコンサートをする予定だったのだが、コロナで残念、残念。
カフェでも、小さいホールでも、美術館でも何処かいいところはないかしらと相談していた所だった。
「セーヌ河クルーズの船上」の話もちょっと耳にして、思わぬ展開に楽しみにしていた所だったのだが…
2017年5月、私はレコーディングにフランスに渡った。
レコーディングは体力も神経も使うものだったのだが、歌だけのことを考え、音楽にどっぷり浸かった幸せな時間を過ごすことが出来た。
とにかく、歌った。
大学受験やコンクールのことを思い出したくらい…
渡仏前、パトリックさんから「曲は何曲くらいレコーディングしたいですか?1日4時間くらい合わせます」
と聞かれた。
前にもレミさんは「1日3時間やります。15、6曲は準備して来て下さい」
と言った。
これは、プロであるか、そうでないかを問われているような気がしたのと同時に、フランス人はキチキチしている…
と思った。
練習はパトリックさん宅で1日4時間、3日間やった。
パトリックさんのピアノは私の声質に合わせたアレンジで、私が歌っていて、ここをこうして欲しい…という合わせ方ではなく、彼のピアノにリードされ、何時間でも歌えたのだ。
1日の休みを入れ、レコーディングが行われた。
パトリックさんはフランス人には珍しく、約束の時間の30分前には来る人で、フランス人のイイ人。
メトロも偶然同じになり、一緒にスタジオに入った。
自然採光の入るスタジオ。
午後2時から7時まで、レコーディングは3日間行われた。
シャンソンの国フランスで、どのように評価されるのか…
日本から交通費もかけてここまで来たのだ。
もう泣いては帰れない…。
緊張の中、いろいろと考えた。
それに1曲を何回もやり直して時間をかけるわけにはいかないだろう…
時間は限られている…
パトリックさんとは、このように、失敗の出来ないシーンで出会ったので、信頼感が、ガッチリ生まれた。
ガラス越しの部屋に入り、はじめは緊張していたが、すぐに慣れた。
楽譜をめくる音、イヤリングが揺れる音、服と手がすれる音、ほんのわずかな雑音もキャッチしてしまう。
音がしたら、サウンドエンジニアからダメ出しされ、やり直し…
一曲が終わると、しばらくじっとして、窓越しにサウンドエンジニアのOKの手が上がれば成功である❗
レコーディングの醍醐味を味わい、この時の「愛の讃歌」は本当におおらかに、ハッピーな気持ちで歌えた。
テンポもゆったりしている。
オーナーのジョルジュさん(右)とサウンドエンジニアのオーギュスタンさん(左)
帰国の前日、パトリックさんからお食事のお誘いをいただき、奥さんのダニーさんの手料理をおごちそうになつた。
家庭では、奥さんはお料理を作り、パトリックさんは、本当によく動く。
ワインの栓(コルク)を抜く姿も似合う。
下は馬のサラミ。
マネージャーの邦子さん
この時のCDはこちら (パリの香り)
『Parfum de Paris 』
「収録内容」
・リラの花咲く頃
・パリのお嬢さん
・パリの空の下
・愛の讃歌
・モンマルトルの丘
他、17曲
演奏者
ヴォーカル 小國 裕美
ピアノ パトリック・ヴァゾリ
Recording Date : 2017. 5 . 16.18.19
◼️CD OGN0001 ¥2800 (税、送料込み)
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